LucchiMeter
1983 年にマエストロ、ジョヴァンニ・ルッキによって開発された。LucchiMeter は超音波によって
木材の音響性質を測定する装置である。もっと正確に言うと音波がその物質を通過するのに要する時
間を計る器具である。データから、音質だけでなくその弾力性を明示することができる。まだ素材と
しての木材から加工中の用材、既に楽器として出来上がっているもの(ヴァイオリン、ギター、ピア
ノ、オーボエ、クラリネット、ハープ、リードや楽弓)の計測も可能だ。
計測結果や密度のパラメーターなどを見ながら作業中、どのくらいの厚みを保って加工した方がよ
いか、どのタイプのニスが適しているのか、乾燥に必要な時間はどのくらいか、どの種の膠が音響に
悪影響を及ぼさないのか、などが一瞬で把握できる。
まず最初にそれを大いに評価したのは他でもない、楽器製作用に材木を卸している材木商たちだっ
た。彼らの中には我々の数値をそのまま価格表に反映させている者もある。LucchiMeter は職人達の世
界で使用されているほか、楽器製作学校、音響学研究所、はたまた台湾のChi mei 財団などでも用いら
れている。
器具は一定の間隔をおいて衝撃波を送る装置とそれを感知する装置で成り立っており、衝撃波を送
る方が計測する物質の先端に取り付けられ、感知器は、送られた衝撃波が伝播するまでの時間を計る。
計測する物質の長さはあらかじめ分かっているので、そこから速さを計算する(速度=距離÷時間)。
縦波、横波の周波数速度を読み取り、両数値の相互関係から、計測物質に異変がある場合は周波の通
過時間に変化が出るため、そこから膠の塊の存在や、ひびなどの異状を割り出すことができる。